電子書籍のメリットデメリット

さっきツイッターで寝るといったが、スマンありゃウソだった。

今年六月末、TSUTAYAが店舗で購入した書籍の電子版を無料、または割引で提供するサービスを年内に開始すると発表しました。(InternetWatch、2014/06/30)俺はこのサービスを心の底から期待していました。
「新規で買う漫画は電子版でいっかー」とは思っていたものの、既に紙で購入してる書籍に関しては、本棚の並びも考えて紙で買い続けると決めていました。しかし一方で電子書籍にちょくちょく手を出し、二十巻以上シリーズの続く漫画をはじめとし、数作品を電子コミックスで購入しました。そして、その利便性にどっぷりと浸かってしまいました。そうすると、当然この利便性を紙で買ってる漫画にも求めたくなるのですが、そうすると同じ漫画を二冊買うことになってしまったのが従来でした。
このサービスが開始されれば、俺の欲求が見事に満たされるのです。期待せずにはいられません。

さて、俺がどっぷり浸かってる電子書籍の利便性を紹介して、「本は紙じゃないと嫌だ」「電子書籍のよさが分からない」と言う方へ、俺が如何に上記サービスを待ち望んでいるか納得していただければと思います。

一、端末一台で量を読める
電子書籍のメリットその一は、やはり”量があってもかさ張らない”という、アーカイブ性です。引越しを経験された方や、コレクター気質があり本棚を常に整理、増設をしている人は分かると思いますが、漫画をはじめとした紙媒体書籍と言うのは、量があればあるほどかさ張ります。限られたスペースにどう置くか、文庫サイズや新書、コミックスサイズも大判だったり、それに加えて雑誌、ハードカバーやソフトカバーといった単行本、大きさもまちまちのものを梱包用のダンボールや本棚にきれいに収めるのには、苦労された経験があると思います。しかし、電子書籍で購入した場合、これらの悩みは無くなる事でしょう。

二、場所を選ばず読める
メリットその二は、”どこへでも持ち運べる”という、携帯性です。携帯という名の通り、利用する電子書籍購入サイトによっては、スマートフォンからの利用も可能ですし、画面が小さい、と思う方は、もう一回り大きいタブレットに入れて、外出先の電車、バスといった交通機関での移動時間、昼休みのちょっとした時間など、いつでもどこでも読むことも出来ます。

三、複数の端末で読める
電子書籍のサービスは、基本的に”電子書籍のデータを買う”というよりも、”電子書籍のダウンロード権利を買う”と考えた方が実情に近いかもしれません。と言うのも、PCやタブレットスマートフォンと、複数の端末から電子書籍を購入サイトやアプリからダウンロードし、それぞれの端末で閲覧が可能だからです。以前音楽配信サイトについて書いたときも思ったことですが、やはりネット配信形式のビジネスは、複数の端末から利用するのを前提にされていると、非常に便利に思います。俺の利用するebookJapanなどはその限りで、非常にありがたいことです。ただし、青空文庫の書籍を読む際によく利用するKindleは、何故か未だにWindowsに対応していないので、パソコンのみで電子書籍を読もうとする方はご注意を。

四、定価以下で購入できる(場合もある)
 本と言うのは、どこの店で買っても同じ、と皆考えていると思います。これはCDやDVDと違い、書籍がどこで売られようと、新品販売の限り定価で販売されることに由来していることでしょう。
電子書籍の場合、実はそうとも言い切れません。出版社との価格交渉にもよるのでしょうが、漫画は五パーセントから十パーセント程、新書や単行本は二十パーセントから三十パーセントほど定価より低い価格で売られていることも多く、そこも魅力のひとつであります。
この定価以外の価格で買えると言うのは、タイミングしだいでは購入者に大きな恩恵を与えます。
通常の書籍と違い、半額セール、大幅値引きと言った価格を通常販売より更に低い値段で購入できることもあるからです。これは、通常の新品書籍ではまずありえません。

五、場合によっては雑誌掲載時カラーだったページがカラーのままである
これも出版側の意向によるものだと思いますが、単行本では価格との兼ね合いで白黒印刷になってしまった元カラーページが、カラーのまま読める、ということがあります。あります、というか、ありえますと言った方が現状にはそぐうのかも知れませんが。もちろんこれはレビュアーがそう書いてない限り分からないことで、買ってみてどうなっているかはお楽しみになります。期待してカラーじゃなかったと言われたら俺も責任取れませんので、そうだったらラッキー、位に思っていただければと思います。

六、品質劣化をしない
父親からもらった昭和時代のあしたのジョーの単行本、古い本のにおいがします。ホント。
電子書籍はこういった事がまずありえませんよね。だってオラはデータだから……

以上、電子書籍のメリットです。俺はこれらの利便性にどっぷり浸かっているわけでございます。
されど、万物共通の事ながら、メリットあればデメリットあり。
今度は、実際使って見て感じるデメリットを列挙します。

①ページをめくる際のレスポンスにむらがある
これは端末のスペックにもよるでしょうが、俺がタブレットで閲覧する際は、大体〇.三秒から〇.五秒程かかる体感でしょうか。それが気になる人にとっては、致命的なデメリットになるのではないかと思います。

②装丁を楽しめない
俺の好きな漫画のジョジョの奇妙な冒険のノベライズに、『恥知らずのパープルヘイズ』という作品があります。これはハードブックの単行本なのですが、とにかく装丁が凝っています。表紙裏表紙とも表題のパープルヘイズを連想させ、小口はイメージカラーの紫に染められています。本当にこの装丁は大好きです。また、印字が立体的になっている場合もあり、実際触れて楽しむことも出来る装丁も、ハードカバーの場合はしばしばあると思います。しかし、電子書籍だとそれを十二分に楽しめないことになります。

③指で位置を記憶できない
例えば、昔読んだ漫画や本を、特定の箇所だけ読み直したい、と思ったとき、バララーっと指でページをめくり、この辺りだったなーと目安をつけて周辺を探しますよね。電子書籍だとその”指で覚える”ということがまず出来ないと思います。なんてったって、ページをめくるときは淡々と画面端をタッチするかスライドするか。指に紙の厚さが感じられるわけありませんよね。
もっとも、漫画の場合は前後の流れをババーっとページ送りして見つければいいだけですけど、活字の場合は、しっかり章やサブタイトルを覚えていないと少し煩雑かもしれません。(苦笑

④目が疲れる
現代人は目を酷使しているとしばしば言われているのを聞きます。ブルーライトの問題、慢性的な肩こり、それからくる偏頭痛、視力の低下。いやはや、目は大事にしたいところですよね。
昔は本を読むと目が悪くなる、なんて言われていたようですが、それは暗いところでという条件がつくようになり、より目に悪いとされる液晶を見つめるもの全般の登場から、ついぞ本を読んで目が悪くなるなど言われなくなったように感じます。つまり、それだけ液晶を見つめると言う行為は目に負担をかけるわけですね。
Amazonが出すKindle Paper Whiteや、紀伊国屋ソニーの出す紙に近い質感で表示する、電子書籍専用の端末もありますが、これらを使うとなると、ポータブル性の実現には荷物が増えることになりますね。うーん難しい。

⑤カバー裏などが端折られる
コミックスのカバーをまくって見ると、ちょっとした四コマだったり、表紙と違うイラストが載ってたりしますよね。漫画版デジモンクロスウォーズも、四コマ載ってましたっけ。しかし、これまた出版社の以降によって違うのですが、場合によってはこれが端折られている場合があります。いやはや、なんてこったい。大事なちょっとした楽しみなのに、これが無いのは致命的です。最も、逆に宣伝用オビまで収録されている場合もあるので、先述のカラーページと共に、これは出版社の意向一つですね……

⑥提供サイトが複数あって絞らないと面倒くさい
AmazonKindle楽天kobo、ebookJapan、DMM、ニコニコ、そしてTSUTAYAと提携予定のBookLive!。これでもまだ一例でしょう。実際販売サイトはより多いと思います。で、PDF形式での配信以外は、恐らく独自の拡張子で配信され、独自のアプリケーションを導入することで閲覧することになるでしょう。
これ、だるいんですわ。もし複数のアプリを使うとしたら、どの作品をどこで買ったかとか、考えただけで面倒くさくてたまりません。先述の通り俺は漫画はebookJapan、青空文庫で公開されている作品はKindleと分けていますが、ほかのサービスサイトを利用する気にはなれません。

別に引き分けにするつもりはなかったんですが、きれいにメリットとデメリットが六対六ですね。

そんなわけで、電子書籍が以下に便利と言えど、やはり一長一短。そこで、本のメリット=電子書籍のデメリットの裏返しと、電子書籍のメリットをどちらも得られるTSUTAYAの提供予定のサービスに期待がかかるわけですね。
BookLive!を新規で利用することになるのは少々煩雑ですが、元々紙で買う前提のものなので、新書等はもとより、漫画も俺の頭の中での住み分けは十分可能なことでしょう。
BookLive!のプレスリリース(2014/09/30)曰く、十二月一日にTポイントを導入開始との事なので、それに合わせて開始されるのかなーと予想しています。先にもう登録しようかなーとか、どのTSUTAYAで買おうかなーと既にかなり楽しみにしています。
電子書籍元年と来年声高々に言われるよう、サービスの成功を願ってやみません。