本を読んで広がる世界

最近図書館に行くと、もっぱらネットカルチャーに対する評論を読んでいます。
本のタイトルで、見るからに批判めいているのを最初から選んでいないせいか、本を読むと、メディアで放送されているよりはよっぽどインターネット社会って言うのは認められているんだなぁ、と思えてきます。

しっかし、このような本を見ていると、必ずといっていいほど入っているのは、現代のメディアへの皮肉。
昔から「俺はマスコミが嫌いだ。理由はねーがとにかく嫌いだ」といっています。
まあ理由はあるんですけど。俺がメディアを嫌いな理由は、単純な事実を伝えずに、歪曲して面白おかしくしようとする報道体制に由来するものです。

ですがまあ、最近はそういう考えは持つものの、マスコミもお仕事。
視聴率稼いで、スポンサー様にへこへこして広告料を稼いで、政治家や有名人に取材するために、二酸化炭素濃度が恐ろしく高そうなところへせっせと行かなければ行けないわけですし、大変な仕事だとは思います。
もちろん、その報道体制がひどいのに信じている人が多いこと、取材などでもはや聞きたいワードが決まっていてそれをひたすら言わせるための、もはや一昔前の自白の強要じみたやり方を行っていることには不満がありますし、時には憤りも感じますけどね。
自分は少し前までは、マスメディアが悪と考えていました。時には自分の主観さえ混ぜているんじゃないか、とさえ思える報道体制に、まるで絶対的な権力を振るう王が、情けで国民に対して「情報」というなの粗末で小額の貨幣をちょびちょび与えているだけじゃあないか。そんな王は要らない、そんな報道体制はいらない、そう考えていたのですが、最近は先述の理由でそこまで考えなくはなりました。(ネットでより過激な意見などを見て、それらの意見が痛すぎたため冷静になれた部分もある気がします)

そんな感じに思っているときに、マスコミを皮肉る評論を見たものです。ちょっと感慨深くなったのです。
読んだ本では、大抵このように書いてありました。
Googleニュースについて書いていた本では、いろいろな新聞社が最初はこのツールに猛反対の姿勢をとっていて、理由としては、今まで自分たちが築きあげてきた日本のメディア社会が、あっという間にいろいろな角度からの、いろいろな情報によって崩されていく、だから反対していたのではないか、と書いてありました。
また、日本の掲示板社会について書いた本、ブログについて書いた本では、インターネットを使う人々と、テレビを主な情報収集先としている人々の意見が違うのは、テレビはお上癒着型である、と共にいっており、後者に至っては、テレビを見る高齢者と、インターネットを使う若者では、高齢者向けに編集された内容と、色々な情報を見て自分で判断した内容とで、大きく差が出るのは当たり前だ、と、その手の世代からバッシングを受けそうなぐらいの勢いで書いてありました。
正直、そういう世代が身近にいる人間となると、ちょっと過激な意見は受け付けにくいものです(といっても、朝日新聞をとっているこの家では、麻生政権時代、基本的に民主擁護姿勢でニュースの感想をいっていたのは違和感あったことでああそうか、と納得してしまった部分もありますが。もっともその時期に俺が主に読んでいた新聞が産経ってことも違和感の原因でもあるのでしょうが)。

そして今日読んだ本には、メディアは限界が来ているので、つぶれろ、なんてどっかのネットイナゴがいいそうな文句ではなく、メディアに限界が来ているのは、夜に出回っているコンテンツの変化によるものであり、それに柔軟に対応すれば、まだまだ生き残ることはできる、というものでした。
つまり、グローバルならばグローバルに対応すればいいってことですね。
こういう風に、ただ批判するだけじゃあなく、これからの姿って言うのを本当に考えて書かれている評論って好きです。
そういえばNHKに日本のこれから、なんて番組があり、テレビのこれから、っていう企画がありましたが、あそこでは具体的な解決案が出されてなくて残念だった記憶があります。もっとも俺の見ていた範囲でですが。

評論って言うのはその人の考え方に基づいて書かれているもので、そりゃあ出版社なんかによってはなねられる内容があったかもしれませんが、新聞で読む社説よりも、詳しく、色々なことを根拠に書かれているので、読み応えがあるものです。
そして中でも一番感嘆した内容。ニュースなんて半分で聞いた方がいい、間に信じないで、自分の遠くもなく近くもない世界でそういうことが起こっている、それが面白おかしい内容ならば、面白おかしいほど半分くらいで聞いた方がいい、こんな感じの内容を読んだとき、そうだな、と思わされました。
手記なんかで事実か事実でないか、なんて争うのを見ると、そういえばそういうのを楽しむ余裕っていうのを持たないといけないんだなぁ、と納得しました。

やっぱり本を読むと世界が広がりますよね。
そんな感じ。読みにくいと自分で思ったので改行入れてみたけどあまり変わってない気がする。