メタ視点と情報純度

えー、今日の昼と夜に、特定のまとめブログをバッシングするツイートがあり、ちょっとまとめブログの話になっていたので、タイムラインに首を突っ込んでみました。

とりあえず俺のスタンスとしては

1、まとめブログはテレビ、新聞、ラジオなどと同じ「メディア」であると考えている
2、メディアの色としては週刊誌などの雑誌に近いと考えている
3、ほかのメディアと違い、編集者に社会的な責任は基本的になく、やや暴走しがちであると感じている
4、無料で取っ付き易いコンテンツのため、影響力が強いと感じている

以上。

で、今回何を書きたかったっていうと、そういった面があるまとめブログは、どう利用するといいのか、ということ。
ぶっちゃけ、ネタスレ、アニメゲームなどのサブカルのまとめなどは普通に楽しんでいます。
これはそれこそ、雑誌の楽しみ方として全うなものですし、まとめブログに関してもそう思うわけです。
しかし一方、ニュースといった情報を扱うものに関しては、ほかのメディアと同じく、あるいは3と4を考慮すると、それ以上に注意しなければならないと思います。
以前、違法ダウンロード刑事罰化に関して記事書きましたが、そのときは本当に、まとめブログ発の情報で誤解していた人間が多く、正直「ないわ」って思ったのを覚えています。ああはなりたくないですし、多くの人になって欲しくはないものです。

で、まとめブログに限らない話ですが、メディアと接するにはどういう考え方を持っていると捗るか、ちょっと自分をソースとして考え、まとめて見ました。

・メタ視点
メタ発言、という言葉があります。例えば、漫画に登場するキャラクターが、「勝った!第三部完!」とかいっちゃったり、「おめーにアニメ、合ってねーんだよ!」とか言っちゃったりと、要は「作品を作品であると認識した上での
発言」を言います。
で、メタ視点とは何かというと、「メディアはメディアとして認識した上での視点で見る」ということです。
メディアというものは、何かしらのルールや傾向というものがあります。例えば、テレビの場合は、

a.尺に限りがある
b.スポンサーがある
c.自主規制がされている
d.放送局にある程度固有の色がある

といった面があります。
である故、番組を見る際によーく考えると、「あれ、これおかしくない?」とか思うこともありますよね。
最近は、メディアバッシングの材料として積極的にそういう「違和感」を探している人達もいるようですが、まぁ彼らは御多分に洩れず我田引水というか、確証バイアスというか、要は結論ありきで叩いているだけなんだよなぁ。
俺が言いたいのはそういうことではなく、あくまで「出来るだけニュートラルな視点」で、かつ違和感や疑問に思ったことを「何故?」と考え、そのメディアの傾向を考え、情報のバックグラウンドを把握して「メタな視点」を得ることが出来まる、という事です。
こうして書くと我ながら非常に面倒くさいですが、一般的な常識を持っていれば、まず煩雑なバックグラウンド調査は必要ないですし、「まあそういうものだよなぁ」という感想を持って、情報を情報として受け取りやすくなると思います。また、バックグラウンドを把握する際に相手の立場にたって考える、どっかの泣く頃にで言ってたゲーム理論の一種は、非常に有効だと思います。

それが何になるかって言われれば、ここでまとめブログに話が回帰します。
まとめブログは「手軽に見れる」「掲示板に書かれた一般人の内容がまとめられている」といった特性から、見るとその意見に同調しやすい毛がありますが、実際は(アフィリエイト、広告がある場合は)、PV(=ページビュー、テレビで言うと視聴率みたいなもん)を稼ぐ事にアドバンテージがあるため、ほかのメディアと本質は何一つ変わりません。それが上記に1で書いたことに繋がるわけですね。

そこで、他のメディアと同じように「メタ視点」を入れて考えて見ます。
例えば、特定の「テレビ局をバッシングする記事」があったとすれば、
「元から(ネットの一部では)テレビが嫌われている」
インパクトがある」
といった、話題にしやすい面や、PVにつなげやすい面が、こんな抽象的なものを対象にしても思い浮かんできます。これに、タイミングやネット世論を考慮すれば、様々な記事に冷静な目を向けることが出来るでしょう。
また、メタな視点は、議論、討論をする際、物事を効率よく進めることに非常に重要だと思います。
そもそも、俺は気になったニュースというのは自分で意見を持っていた方がいいと俺は思っているので、少なくとも、自分の関心のある報道に関しては、このメタ視点を持つ事が大切だと思っています。
それが将来的に、例えば商品選択の決断だったり、例えば似たケースのトラブル解決だったり、直接性が高い例で言えば選挙だったりと、役に立つことがある、かも知れません。我ながら結論弱いなぁ。

・情報純度
メタ視点はまだ普通に言葉としてありそうだけど、多分情報純度はついさっき俺が思いついた造語です。
勝手に造語作るのは割と楽しい。
情報純度の定義としては、「客観性、事実性に基づいた情報としての質」を意味し、主観や感情論、ただの感想なんかを如何に排除しているかを指す指数とします。
例えば、夜7時あたりにやっているNHKのニュースは、かなり淡々としていてテンポがよく、情報純度が高いといえると思います。また、新聞も基本的には情報をかなり淡々と書いているので、情報純度の高いメディアといえると思います。
で、話を頭に戻してまとめブログですが、情報純度の点から言えば、決して高いとはいえませんね。そもそも、まとめブログは「ノイズ」が多いことが一種売りな訳ですから、それが問題ではないのですけれどね。
では、何が言いたいんだって言うと、これはユーザー側の認識の問題なんです。
ノイズが多い情報に、信頼性を置くことは果たしていいことなのか、悪いことなのか。
週刊誌に載せられた見出しが「!?」で終わるスキャンダル記事、あなたはそれを真実のように話す人を見るとどう感じるでしょうか。
まとめブログというものは、どこの誰かわからない人物が発言した書き込みを、さらに編集者がフィルターをかけて掲載しています。書き込みに根拠があり、ソースを明記しているものだったら、それは非常に参照する場合ありがたいものなのですが、残念ながら、そういった例は少ないですし、あっても有効と思えるソースではないことも多々。それを信じ込み、SNSが発達したこのご時勢、拡散することは、果たしていい事なのでしょうか。

一昨年三月十一日の地震以降、被災した俺の携帯には、俺と同じ状況であろう友人、先輩後輩といった人達から、結論から言えばデマのチェーンメールが流されてきました。それは放射能の話であったり、三菱だかどっかの重油工場の火災だったりと、バリエーションのあるものでした。
勿論、彼ら、彼女らは善意で俺にメールを送ってきてくれた訳ですが、電波状況が悪い中で携帯のウェブ検索を使う事も憚られた為、俺はそれらのメールを拡散しない、という手段を取りました。
そして、後々「検証 東日本大震災の流言・デマ」を読み、出来るだけ調べ、送信者に誤情報であることを知らせてあげればよかった、と思いました。
また、同著にも書いてあったことですが、インターネット上では外国人が謂れのないバッシングを受けていて、非常事態に何言ってんだよこのアホども、と思ったことも覚えています。

常日頃必要な事ですが、特に災害時には情報を見極める必要があります。まとめブログやSNSが発達したインターネットでは、ことさら重要な能力であるといえるでしょう。
そういった事を踏まえながら、メタ視点を使い、情報純度を吟味して、メディアと付き合っていくことが、現代人に求められることではないのでしょうか。