俺的お勧めの本を挙げていく

最近ろくに本も読んでいない気がしますが、昔からぼちぼち読んでいた中で、これは色々な人にぜひとも薦めたいなって本。
もちろん「万人に受ける」が前提ではなく、「俺が薦める」なので、ある程度ひねくれたチョイスになることもご了承。

・声の網 星新一 角川文庫
連続短編で進んでいく長編。(といっても1冊で完結)
今でこそ角川文庫から出ているけど、初めて単行本として出たのは1973年の講談社からのもの。
内容は、電話によるネットワークが発達、それを制御するコンピュータによって人々が便利な生活をしている近未来を舞台とし、そこで起こるさまざまなおかしな現象が、物語の中核へとつながっていくというもの。
びっくりなのが、今から30年以上前(後書き曰く、書かれたのは1970年ごろとの事なので、現在から41年前らしい)に書かれたものでありながら、現代社会(ユビキタス社会)に非常に近い舞台設定となっており、作者の想像力に驚かされる。(同氏の短編「行き届いた生活」も、様々な日常生活の工程が機械化された世界を書いている。「ボッコちゃん」に収録)
舞台設定が衝撃的なだけではなく、読んでいて面白い話だからまたすごい。
SFが好きな人には薦めたい一冊。

ウェブはバカと暇人のもの 中川淳一郎 光文社新書
よくマスコミが「ネットの闇」みたいに取り上げるものは、大体が「元から現実に存在した闇が、ネットでも行われているだけ」という事例が多い。(出会い系、殺人予告、殺人者がネットにはまっていた等々)
この本ではそういった「闇」とはまた違う、ネットの負の側面を、自身の経験や、ネットで実際に起こった事例を元に解説している。もう少し詳細をいうと、ネットで起こる、俗に言う「炎上」「祭り」といった騒ぎのメカニズムや対応法、既存メディアとネットの関係性、ネットの無難な使い方、などについて取り上げている。
しかし、途中途中に言葉が俗っぽくなったり、荒くなったりするので、そこ等辺をユーモアやブラックジョークに取れない真面目な方は注意が必要。同氏の他の著書に、「ウェブを炎上させるイタい人たち」「今ウェブは退化中ですが、何か?」など、スタンスを変えずに出した本もあるので、そちらも参照してみるのも面白い。
インターネットを利用する人が多い時代だからこそ色んな人に読んで欲しい一冊。

・変身 フランツ・カフカ中井正文 訳) 角川文庫
高校時代の国語の資料集に名前が載る位有名なドイツの作家、カフカによる小説。
家族を支えるために毎日働いていた男性グレゴール・ザムザが、ある日巨大な毒虫に変身してしまい、それからの日々の様子、家族の反応など、彼が死ぬまでを書いた作品。
読後感は、結局人間ってそんなものなのです、って事を言われた気がする感じ。。
カフカの小説は難解と言われるだけあって、人によって色々な感想があると思うけれど、間違いなく何か心に来るものがあると思う一冊。

・リング 鈴木光司 角川ホラー文庫
有名な映画の原作。元からホラーと言うジャンルは嫌いではなく、お手軽な活字で味わってみたいと思って最近買った次第。
内容は、記者の主人公が、貞子と言う女性の呪いがこもったビデオを見てしまい、「ある条件を満たさなければ一週間後に死ぬ」という呪縛に対し、生きるために満たさなければいけない条件は何かを模索していくと言うもので、大筋は映画と同じ。だけど、原作はオカルト的な要素よりも、SFやミステリーの色が強く、人の行動理由と言うのがすごく納得でき、理に適っていて、ホラーにありがちな「それってちょっと理不尽じゃないの?」っていう感じがあんまり無いと感じた。事の発端の貞子が、強力な超能力を持った薄幸な美人女性、というスタンスで通されており、「死んで化物に」といった感じでないのも印象深い。

こんな感じで。
デジモンファンにはもちろん小説版デジモンアドベンチャーをお勧めしたい。
省くところは省かれているものの、各々の心理描写が細かくされており、所々にお遊びもあったり、巻末のデジモン紹介と、ファンなら絶対楽しめるシリーズ。アカポリモン。

それとしばらくネットに顔出せないと思うので、デジサーでチャリオッツに飯を食わせてくださる方がいればうれしいです。