俺は皆さんご存知の通り、仙台生まれの仙台育ち。
そして今は関東住まい。
では皆さんに問題。
関東にあって、仙台に無いものって、なーんだ?
横浜?ノーノー、JR以外の鉄道会社?ノーノー、違う、違う、そういうものじゃない。
言葉を改めましょう。
関東にいて、仙台では会うことがほとんどなかったやっつって誰?
答えはそう。
ゴキブリ。
ことは丁度二年前にさかのぼる。
奇しくも日にちまで一致していやがる。忌々しい限りです。
上のリンクに書かれている通り、俺は戦慄し、蛇に睨まれた蛙の如く、何も出来なくなってしまったのです。
その日は少しでも高いところで寝ようとして、2階の客間のソファーで寝たのを覚えています。
そして今日。
6月23日。2年前に書いた、「一人暮らしにおける懸念」が見事に当たりやがった。
俺は今日、大学の同級生2人とカラオケにいき、その後ブックオフを回って、文庫版のとあるコミックスを4冊買い、帰宅し、それを楽しんでいるところでした。
午後8時18分。
奴が出た。ツイッターでは詳しく述べていないのでここで述べることにします。
俺は、買ってきた漫画を、床に寝そべりながら読んでいました。
んで、なんだか腕がかゆいなぁって思ってふと腕を見ると。
やつが高速で俺の腕からクローゼットの方角へ、動くのが見えたわけです。
そのスピードたるや。
そしてそのときの俺の情けない声たるや。
その後、部屋に奴の隠れる場所を作らないため、散らばっていた教科書や漫画を一箇所に集め。
いざ、奴の観察。
手回しLEDライトで照らしつつ、やつの動きを探る。
やはり陰にいるとこちらも手が出しにくい。
というか手を出すという姿勢でさえガクガクブルブルなわけでして。
正直、この日まで心臓に悪い日は無いと思います。
2年前は俺の不戦敗。ですが、あのときは2階で寝ることができた。
だが、ここはワンルームのアパート。
逃げ場なんてどこにも無い。
ここに暮らすのは俺であって、あいつなんかじゃあない。
俺のテリトリーに入ったからには、俺はあいつを殺さなければいけない。
そう腹をくくってやっとの思い出強気で入られたのです。
しかし、やつはクローゼットの陰から急遽消えました。
ずっと地べたを眺めていましたが、途中ライトの明るさが弱くなって、チャージしている間に、どこかへ行ったようです。
とりあえずクローゼットを閉め、扉の影だった部分を身長に探る。
しかし、やつはいない。
だったらクローゼットの中だろう、と思い、それならば少し安心だと思ったのか、俺はそれまで神経を集中していただけに、そのままぽっくりと、携帯でゴキブリについて調べながら眠りこくってしまいました。
起きたら。
スパイダーゴキブリがいた。
奴の足って器用ですね。部屋の壁一周していましたよ。さすがに天井を歩きそうになったときは泣きそうになりました。
このとき、俺は液体洗剤を溶かした霧吹きを構えつつ、やつが地面に降りるのをまっていました。
そしてそのとき。
あいつ飛べるのかよ。
ムササビの様に空を滑空するゴキブリ。
このときもウォオオ!と声を上げました。
やつは速攻靴下の影にもぐりこみ、動きが無くなる。(俺は脱いだ靴下は洗濯籠の脇においている)
そして、そっから出たかと思えば台所を疾走、玄関のほうへと向かう。
俺は逃げてもらおう何て微塵も思わなかった。
ここで殺すしかない、怖いけれどそうしなければいけないって分かっていた。
玄関の脇には、洗濯用洗剤、石鹸などのスペアが入ったビニール袋と、飲用水のペットボトルが置いてあった。
やつはそこらへんの陰に隠れた。
俺はそこ等へんの水のボトルとかめんつゆの空の便とか、この前きた高校の先輩たち(成人済み)が来たときに飲んでいったカンなどでバリケードもどきをつくり、奥の方めがけて、洗剤入り霧吹きを乱射。
ビニールの陰に向かって乱射。
しかし音沙汰が無い。
洗濯用洗剤をおそるおそるどける。
そしてビニールを恐る恐るどける。
いた。
全力できりふきをかける。
が、バリケードの陰に隠れられる。
だが陰にいようと霧吹き連打だ。
とおもったが。
バリケードの隙間をいとも簡単に通り抜けられ、俺のほうに向かってくるゴキブリ。
霧吹き乱射。とにかく乱射。打って打って打ちまくった。
電子ばかりの脇辺りに隠れようとするゴキブリ。
ぐったりしてつらそうだ。
ここで説明しよう。
液体洗剤がなぜゴキブリに聞くか。
正確にいうと、水に溶かせば石鹸でも理論的には効果がある。
が、ここは溶け易さを考慮して液体洗剤が望ましいであろう。
おっと、何故聞くかの話であった。
昆虫というのは、肺を持たない。
呼吸は、体の脇に空いている穴、「気門」で行う。
この気門、ぬれたら窒息してしまうため、表面が油でコーティングされている。
油は疎水性のため、水でぬれて穴がふさがることは無い、という仕組み。
そしてここで出るのが洗剤。
洗剤とは、界面活性剤の別名でもあります。
界面活性剤、とは、油脂と水、互いに交じり合うことの出来ない二つのものを、境をとっぱらって溶けるようにしてしまう魔法のアイテム。
親水基、つまり水の溶ける部分と、親油基、油脂に解ける部分をそれぞれ持ち、油に親油基がくっつき、外側は親水基で囲まれた状態になる。
つまり、溶ける事の無い油を水に溶かしてくれる絶好アイテム。
そいつを使って、気門の油をとる。
そして後は気門がふさがり窒息死するってカラクリです。
さて、そんな界面活性剤をモロニくらいまくったゴキブリ。
ぐったりしてしばらくはぴくぴく動いていたものの、ダメ押しとばかりに霧吹きを乱射する俺。
完全に洗剤水でぬれています。
後は時間が経つのを待つだけ。
勝った。俺は勝ったんだ。
微動だにしないゴキブリ。俺は一人で、自分の力で、奴に勝つことが出来たのです。
そのごティッシュをかぶせてサイダーのボトルでつぶして丸めたとさ。
おしまい。
もう2度と経験したくない。