battle in Lost Evolution

Battle in Lost Evolution

2010年8月1日。
ファンは和気藹々とお台場へと集い、にぎやかに、楽しそうに時間をすごしたことだろう。

一方。仙台の俺はDSという世界で死闘を繰り広げていた。

「なあ、これホントに開けるのか?お前ずっと警戒してたじゃん?」
言ってくるのは巨大なグラウモンの異名を持つそいつ、名前はツイン。
「たしか、リスクケイブで手にはいるプレート全部揃えたから、ここにきたんだよな?」
砂漠では辛そうであろうてっかてかのつるっつるの肌を持つ、頭にCDを乗せた河童。名前はスウェー。
「待て、大体まだ育成途中なんだろ、俺ら。そんなタイミングでなんでこんなところに来たんだよ」
わっせわっせと忙しげに羽を動かす黒い三本足のカラス、名前はクロカゲ。
しかしこいつらとのこのやり取りは既に5度目だ。

時は8月1日、午前0時過ぎまでさかのぼる。
何とはなしに起動したDS、そして何とはなしに来たこの場所。
宝箱、あれば開けてみたくなるものである。俺はつい、中身を知りたくて、開けてしまったわけだ。驚愕した。

なんだこの面子は。
ロイヤルナイツの始祖に、四大竜と四聖獣をまたに掛けるやつ、さらには大量発生可能のクラゲちゃんだ。
そういえば、今日は8月1日で、02の十周年の年だったな。
とそんなことを思いつつ、布団に寝そべりながら倒すべき努力するわけであるが。
強い、強すぎる。まずアイテムが底を尽き、頼るは控えにいるEvoluterと名づけたプットモンが覚えていたファイナルヒールのみ。しかし如何せん、あの憎きクラゲと相性が悪い。
攻撃要員もうまく突っ込むことも出来ず、時計の針はどんどんと回っていく。
ふと、俺の意識が途切れた。

再びDSを起動したのは夕方だった。
帰宅してからもっぱら挑戦だ。
全滅してStartとSelectとR、Lボタンを同時に押した回数は3回。
それほどまでに手ごわい相手だった。
負けるたびパーティの配置や装備を変え、挑み続けた。
そして。今度こそ、今度こそいけるはずだ。
何度か戦ったのでわかる、やつらの使う技のレンジ、属性、威力、大体を把握した。
後はそれに対抗できるような組み合わせ、装備。
防御を重視する配置を、俺は選んだ。
そして現在に至る。
「よし……開けるぞ」
開いて出てきた、5度目のやつら。
「頼むぞクロカゲ!」
スピードは全体的にこっちが勝っていた。
「無双天翔!」
暗黒の翼でチンロンモンとインペリアルドラモンパラディンモードへと切りかかる。
手ごたえはあった。
「ち、やっぱりか」
何度みても、このダメージ量で相手のHPゲージの減りはあせる。
「おいおい、奴さん効いてない見たいぞ、どうするんだ」
クロカゲも手ごたえと相手の状態にギャップを覚えているようだ。
「わかってるさ、既に手は考えてある。頼むぞツイン」
「おうよ、いくぞお前ら」
ツインが体中から炎を上げる。
「うぉおおおおおおおっ!」
ギガゲインアタック。その炎は味方全体の闘士を奮い立たせる。
「ジュデッカプリゾン!」
暗黒の波動、再びチンロンモンとインペリアルドラモンパラディンモードへとヒットする。
「おいおい、全力だぜ?」
攻撃力を上げても、ダメージ量はそうも変わりはしない。そもそも与えるダメージがカンストに近い値だったので仕方がないといえば仕方がない。連続攻撃を決めた後、攻撃はスウェーの番となった。
「手数がいる相手なら、単にこっちに攻撃のチャンスを増やせばいい、やったれ!」
「フリージングブリザードッ!」
口から吐き出される、冷たい吐息と氷の結晶、いやもはや吹雪だ。
攻撃のダメージに加え、相手の動きは鈍くなっていく。これで攻撃の手数を増やそうという算段というわけだ。
しかし、そう上手く事は運んではくれない。
敵の攻撃が、強すぎるのだ。
チンロンモンの雷技ではスウェーが、インペリアルドラモンパラディンモードの炎の技ではクロカゲガ、光系の技ではツインが体力を大きく減らされる。
「まずいぞ、奴さんタフな上にあのパワーかよ。勝ち目あるのか?」
一番ダメージが大きいクロカゲガ息を荒げながら言う。
「……正直勝機は少ない。あるとすれば、俺たちの根性だ。俺はお前らを信じるよ」
「しゃあねえなぁ、やってやるよ、スウェー、お前ギガゲインガードで補助も頼む」
「ああ、任せておけ、ただやつらのスピードに注意しろよ?」
果てがないように感じる戦いだった。

ダメージを受けるたび、回復アイテムを使い、サポートと組み合わせて着実に進めていったが、中盤、アクシデントが起こった。
3体のスピードがチンロンモンによって下げられ、さらにクロカゲとツインがマヒしてしまったのだ。
その上、相手は下げたはずのスピードを回復していた。
逆にこっちが相手の手数に攻められ、圧倒的な攻撃力によって、3体は倒れた。
「畜生、頼むぞ、Evoluter、bio、チェック!」
プットモン、ロゼモン、シルフィーモン。控えにいた3体だ。
「はいはい、どうせ俺回復要員だろー、わかってるから」
と幼年期なのに無愛想なやつである。
「俺は金と経験値稼ぐための装備要員なんだろ、わかってる、わかってるから」
こいつも最近戦闘に出していなかったため少しやさぐれてしまったようだ。
「そういうなって……俺達出されたってことはピンチなんだろ?てを貸すぞ?」
自分をジョーカーのように見ているが、実際アーマゲモン戦ではこいつが主軸だったため、自信がついているのであろうチェック。
「頼むぞみんな!」
そこからは順調だった。
チェックがストームゲイザーによって敵のスピードを下げる。
これにより、こちらも動きをとりやすくなり、bioのシャリテで脅威であるインペリアルドラモンパラディンモードとチロンモンの攻撃力を下げていく。
そしてダメージを受けるとEvoluterのファイナルヒールで回復していく。いいローテーションだった。
そして、隙を見て控えにいる倒れた3体と1体ずつ交換していき、復活、回復して戦線復帰させた。
復活した3体は最初から状況が有利になっているため上手く戦闘を進めていき、ついに、インペリアルドラモンパラディンモードとチンロンモンを撃破した。
「おうしやったぜ、奴さんやっと倒れてくれたぜ。はっはっはっは」
と倒した張本人であるクロカゲが高らかに笑う。
残るはクラモンだけだ。俺はここで、スウェーに一旦戦線からひいてもらうことにした。
「後は任せたぜ、チェック」
交代間際、スウェーはハイタッチを交わして戻ってきた。
「ああ、任せてくれ。レインボーシンフォニー!」
煌く閃光、破壊光線によって着々とダメージを与えていく。
「スパイラルレイヴンクロウ!」
「ファイナルエリシオン!」
「レインボーシンフォニー!」
「デスキャ……」
「きかねえよ!お前の動き遅くしてやる!無双天翔!」
「サポートするぜ!ギガゲインアタァアックッ!」
「スピードダウンをもう一丁!ストームゲイザーッ!」
あっという間にクラモンの体力は減っていった。そして。
「くらえぇええええっ!ファイナルエリシォオオオオオオンッ!」
ツインの放った光の波動で、全てが終わった。

「や、やった……勝った!」震えが止まらない。
「ああ、やったな」
「ぃやったぜぇえええいっ!」
「皆やったな!」
満身創痍の彼らが、充実感に満ちた目をこちらに向けている。
「うぉぉおおおおっしゃぁあああああああああっ!!」
俺は歓喜に震えた。声高々に叫んだ。勝った!ついに勝った!
記念すべき日、記念すべき相手に、勝ったのだ。
そして忘れてはいけない。もちろん勝てたのは。
「皆!皆ありがとう!」
皆のおかげだって事を。


あとがきみたいなもの。
8月1日、俺は今年は特にどこかに出かけたわけでもないし、記念に絵を描いたわけでもなく、ただ、自然とこんな文章書きたくなってしまいました。これが8月1日の魔力なんだろうなぁ。
みてのとおり、本日の戦いの記憶です、細部まで覚えていないので流れをかいつまんで書いただけですが、ホンット長い戦いでした。彼らにねぎらいの言葉を掛けませんとね。お疲れ様、と。

そんなわけで、8月1日にイベント等に参加した方々、主催した方々、はたまた家で平和に記念日を過ごしていた方々、絵や小説を記念に書いたかたがた、お疲れ様でした。
俺は来年はもっとアクティブに行きたいですね。来年も楽しい一日になりますように。